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米国税理士 |
1.米国税理士 平成15年6月に米国歳入庁から「Enrolled Agent」(以下、E.A.という。)の資格を試験合格により取得しました。E.A.の直訳は、「登録代理人」となりますが、便宜上、米国税理士と意訳をしたものです。米国では、申告書の作成及びその税務調査の立会いは、無資格者でも可能ですが、不服申立てや他人の作成した申告書の修正は、有資格者が担当しなければなりません。
2.日本における米国税理士の役割 顧問先やこれから顧問になりそうな顧客が対米投資をする場合に、手助けをすることにあります。具体的には、現地法人、海外支店又は駐在員事務所で進出したり、個人では、子息又は子女が米国国籍を取得したあとに、日本で遺産相続が発生したような場合に、どのような問題があるかにつき対処することができるのです。 また、米国人は、日本に滞在していても、米国内国歳入庁へ申告の義務があると聞いています。
3.米国における租税訴訟 納税者が訴えを提起する場合、租税裁判所、地方裁判所及び請求裁判所の3種類の裁判所があります。同じ事件で、兄弟の一人は租税裁判所へ訴え、他の一人は地方裁判所へ訴え、その結果が、逆になった事例がありました。そのことから、この事件はどの裁判所へ持っていくかは、納税者の責任にまかされているということです。納税をしないで、陪審員もいない租税裁判所が有利か、いったん納税をして、陪審員のいる地方裁判所が有利かの判断をしなければなりません。
4. 裁判における挙証責任 日本では、売上については、国側にその挙証責任があり、必要経費については、納税者側にその挙証責任があるといわれてきました。しかし、最近、売上についても、その挙証責任の転嫁論が出てきました。米国では、納税者側にその挙証責任があると扱われています。挙証責任とは、そのことを立証できなければ、その不利な結果を負担しなければならないということです。では、そのことをどちらが立証すべきかを決めるのは、立証できれば、有利になる方が負担するということです。 裁判の勝訴率の比較の話がよく出ます。日本では、10%台、米国の租税裁判所では、50%がそれぞれ納税者側の一部勝訴を含めた数字です。単純に比較するのでなく、実情がどの辺にあるのかに関心を持っています。
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